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潮目が変わった2025年5月:金利上昇が意味する経営リスク
2025年5月、日本経済の大きな転換点が訪れています。
長らく続いた超低金利政策がついに転換され、国内外の金利が急速に上昇。企業経営を取り巻く資金環境が大きく変わりました。
「金利上昇=借入コスト増」では片付けられない深刻なリスク。それは企業の資金繰り、信用、財務構造そのものを直撃し、経営破綻を招く可能性があるということです。
しかも、すでに市場では、調達金利の上昇、金融機関の融資引き締め、格付けダウンによる貸出条件悪化が目立ち始めています。
あなたの会社も、今すぐ手を打たなければ、じわじわと資金ショートリスクが高まる状況に陥っているかもしれません。
「まだ大丈夫」と思っていませんか?金利上昇で崩れる財務の脆弱性
多くの経営者は、日々の売上や利益に気を取られ、金利や返済条件の変更を後回しにしてしまいがちです。
ですが、経営破綻した企業の多くは、金利上昇リスクを軽視し、以下のような「思い込み」によって致命的な判断ミスをしています。
- 「借入返済は予定通り進んでいるから問題ない」
- 「銀行と関係性も良いし、困ったら相談すればいい」
- 「金利が少し上がっても、売上が伸びれば対応できる」
しかし、実際には、変動金利型の借入残高が多い企業ほど、わずかな金利上昇でも返済額が跳ね上がり、資金繰り表が一気に真っ赤に染まることもあります。
また、劣後ローンや期限到来間近の元本返済が迫っているケースでは、返済開始と金利上昇が重なることで、資金流出が倍増し、キャッシュが枯渇する可能性も。
特に、クリニックや医療法人など、日常的な資金繰りを「固定収益+人件費」ベースで考えている組織は、金利上昇への耐性が極めて弱いというデータも出ています。
今すぐ着手すべき!資金繰り防衛策と金融機関との正しい交渉術
金利上昇リスクが現実化する前に、経営者が取るべき行動は以下の3つです。
資金繰りの可視化と最悪シナリオの想定
- 返済予定表と現金収支を毎月確認し、金利上昇を3段階で試算する。
- 想定外の金利上昇(1%単位)でも耐えられるキャッシュフローを計算。
金融機関への事前対話と交渉開始
- まだ資金ショートしていない段階で、銀行に「先読みシナリオ」を提示。
- リスケジュールや新たな調達の準備交渉は、資金余裕のある段階が勝負。
財務の健康診断(B/Sクリーニング)
- 売掛金、在庫、投資、リースなど、資金を圧迫する資産を棚卸し。
- 手元資金と短期負債のバランスを再点検し、最適化。
見落としがちな『決済条件』の地雷と経営危機回避策
金利と並んで、見逃されやすいのが「取引先との決済条件」。特に、手形決済から振込決済への移行が2026年に迫る今、未対応のままでは資金ショートリスクが高まります。
- 手形から振込への変更は、実質的に資金繰りを圧迫
- 「振込手形」と勘違いし、資金繰り悪化が気づきにくい企業が多い
また、長期借入の元本返済スケジュールも、無計画に組まれているケースが多く、資金繰り崩壊の引き金になりかねません。決済条件や借入条件の再交渉は「苦しくなってから」では遅く、「余裕のある今だからこそ有利な条件でできる」と覚えておきましょう。
信用格付け低下がもたらす倒産リスクと事前対応
金融機関の内部格付けは、金利上昇局面ではシビアに変動します。
Bランク以下の企業は、金利引き上げや借入枠縮小、保証協会の審査厳格化など、負の連鎖に陥るリスクが倍増。信用格付け改善のためには、
- 月次決算の精度を上げる
- 財務改善計画を策定し、銀行に提出
- 税理士や財務顧問を交えた外部評価を取り入れる
ことが効果的です。
金利上昇を織り込んだ『資金繰り表』作成の実践ポイント
最後に、金利上昇局面では、これまでの「楽観的な資金繰り表」は全く通用しません。
経営者が今すぐ取り組むべきは、以下の資金繰り表作成と運用です。
- 金利上昇を3%まで想定したシミュレーションを月次で管理
- キャッシュフロー計画は、「利益」ではなく「現金ベース」で組み立て
- 売上頼みではなく、固定費・借入返済・税金を先に差し引いた「最低限の現金残高」を死守
この表がなければ、金利上昇の波を乗り越えるどころか、近い将来、資金ショートの地獄を見ることになります。
具体的なご相談は、KCソリューション株式会社までお気軽にお問い合わせください。
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執筆者代表取締役 宮越 聰